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中学生が職場を体験して、世のいろんな職業を通じ、社会の勉強をするという全国的な取り組みの職場体験学習というのをみなさんはご存知ですか?
 
実は今年の春ごろに、ボクの地元の中学校から、職場体験学習の受け入れ要請をいただきました。。。
 
近年の若者のクルマ、バイク離れ、デジタル化が進む反面であろうか機械音痴を、どうにかしたいという気持ちと
衰退気味の自動車業界の未来のためにも、少しでも社会貢献したいという理由から、そして何より要請をいただいたのが僕自身の母校でもあったので、これを快諾したのでした。
 
そして昨日と今日の二日間、中学生たち4名がボクの店に来て、とっても貴重な?職場体験をして帰りました。
 
職場体験と言っても様々で、ボクのところはちょっと特殊。。。(汗)
何をさせてあげればいいのか正直困ってしまいますが、やはり、洗車やワックスがけが基本かつ無難かと。。。
 
飲食店なら、まずは皿洗い。 クルマ屋さんなら、まずは洗車です!
 
汚れた車が、最終的には綺麗に輝く。。。これはレストアの原点でもありますしね。
ただ冬空の寒い中、水を使う洗車は可愛そうかとも思いましたが、彼らにはけっこう楽しかったようです。
 
よほど新鮮だったのでしょう。最近の車はメッキなんて使ってませんからね。。。(汗)
それに比べてウチのクルマたちはメッキバンパーだらけ。。。磨き甲斐があります!
 
それに洗車の良いところは、そのクルマの持つフォルムから、細かいプレスラインの一つ一つを確認しながら
クルマを見れること。これに尽きます!中学生が間近でクルマに触れれる機会など、そうそう無いですからね。
 
でも、せっかくクルマに興味があって、ボクのところを選んで来てくれているわけですから、2日間洗車ばかり
っていうのも、面白くないだろうと、くたびれた部品を塗装して綺麗にしてもらうことに。。。
 
最悪失敗しても、やり直しが効く様に‘73チャレンジャーのヘッドライトベゼルを、リペイントしてもらうことにしました。 それに、ヘッドライトが4灯式なので、ちょうど4人に行き渡ります。。。(笑)
 
ライトベゼルの表面がブツブツに腐食してしまっていたので、マットブラックに再塗装します。
その前に、粗い目のサンドペーパーから中目、細目と、順番にサンディングも教えました。
そして、下地にスプレー式のプラサフを噴き付けるわけですが、ここで驚く発言が。。。!!!
 
念のために確認。。。『キミ達、缶スプレーをプラモとかで使ったことあるやろう?』
 
中学生たち。。。『いいえ?』
 
ワタクシ。。。『は?キミらプラモデルとか作ったことないんか?』
 
中学生4人声を揃えて。。。『ハイ。』
 
ワタクシ。。。『え!?最近の男子はプラモデルら作ったりするヤツっておらんの?』
 
中学生たち。。。『ハイ、いませんね。』
 
ワタクシ。。。『。。。絶句』
 
 
なんとゲーム世代&ゆとり教育世代の彼らには、『プラモデル=おっさんの遊び』だというのか!!!
でも、これってかなり重要な問題だと思うのですが。。。(汗)
 
ボク自身の経験上、物心がついた時にはミニカーで遊び、やがてプラモデルになり、今度はそいつを
思うように操りたくてラジコンになり、今度はそいつをもっと速く走らせたくなって、改造する。。。
こうして、幼い頃から無意識の内にクルマの基本構造や、機械や電気の基礎知識などを楽しみながら学んで
いたように思う。
 
このほとんどの男子なら一度は経験するであろうと思っていた、黄金の方程式が、とっくの昔に崩壊していたとは知らなかった。。。
 
確かに、モノに溢れ、この便利でデジタルな世の中に、わざわざアナログな遊びをする理由など存在しないのかも知れない。。。しかし、男子たるもの本当にそれで良いのだろうか?
 
このままでは、自動車整備業界や機械修理、ものづくりに至るまで、未来の発展は乏しいように思う。
本当にこれで大丈夫なのだろうか?
 
今回、ボクもいろんな意味で勉強になりました。
現代社会で、僕らのようなアナログな人間は、益々減少の一途をたどっているのだと。。。
 
それでも、今後、彼らのようにクルマ、バイクに興味を持ち、この職種に飛び込んでくる若者への、技術の
継承や、指導方法を今から、我々は十分に考えておく必要があります。
 
ドライバーや工具を握ったことが無い、ネジを右に回すのか左に回すのか知らない。。。そんな彼らですが
そうさせたのは、新しいものばかりに目を向け、古き良き伝統を無視し続けている、現代社会と、我々大人の
重大な責任ではないでしょうか?そう考えれば、モノづくり日本なんて言葉は笑わせます。
そんなのはとっくに過ぎ去った、過去の日本の輝かしい姿であって、現在の日本ではとうてい無理なお話。。。
 
そんな狭間の世代で犠牲になっている彼らを可哀そうにさえ思いました。
 
職場体験の最終日、彼らが一生懸命に磨いた、超アナログなアメリカ車に4人を乗せて、軽くドライブしてあげました。 普段乗っているクルマとは違って、よほど新鮮だった様子で、とても喜んでいました。
 
最後に彼らが仕上げたクルマ2台を前に記念撮影をしてあげました。
生まれて初めて自分達の手で一生懸命に磨いて仕上げたクルマです。
 
そんな彼らの表情からは、達成感と、満足感から生まれる最高の笑顔で溢れていました。